えりかちゃん(仮名)

小学校2年生の時、転校生が来た。

転校生は、えりかちゃん(仮名)。

髪は長くてふわふわしていてツインテールがかわいくて、学年一足が早かった。

すぐに皆とも打ち解けて、帰り道が一緒だった私達は毎日一緒に帰る様になった。

 

ある日、えりかちゃん(仮名)が下校時にみんなにこう言った。

「わたし、魔法が使えるの」

「え?ほんとに?どうやって?見せて!」と一同盛り上がる。

えりかちゃん(仮名)は壁に耳をつけて「今、魔法の世界の人と話してる」とか「うん、うん、分かった」と壁の中の魔法の世界の人とよく会話をしていた。

 

次第にえりかちゃん(仮名)の魔力は増していき、みんなに魔法の力を分けてくれる様になった。

魔法の力を分けてもらったところで、魔法が使える様になる訳じゃないんだけど、何となく嬉しい。1ポイントゲット、みたいな。

 

ある日えりかちゃん(仮名)は言った。

「わたしより前を歩いたら、魔法の力を返してもらうからね」

これまで頑張って何ポイントも貯めてきた魔法の力が奪われる事を恐れ、その日からえりかちゃん(仮名)の前を歩かぬ様気をつける日々が続いた。

 

数日経っていろいろめんどくさくなった私は、ついにえりかちゃん(仮名)を追い越した。えりかちゃん(仮名)はぶち切れ、

「yuyolちゃんからにはもう魔法の力返してもらうからね!」

と言われたので、

「魔法の力なんてくれても何にも起きないじゃん!」

と言い返し、えりかちゃん(仮名)と一緒に帰るのをやめた。

 

後に続く様に他の友達数名もえりかちゃん(仮名)に魔法の力を返し、一緒に帰るのをやめた。

 

数日後、えりかちゃん(仮名)から「仲直りをしたい」と言われ、二人で放課後遊ぶ事に。

えりかちゃん(仮名)は「酷い事してごめんね。でも、魔法の力は本当なの」と言い、「見せてあげる!yuyolちゃんはここで目を瞑って待ってて!魔法の力でどんぐりに穴をあけるから!」そう言い残し、えりかちゃん(仮名)は走って行った。

 

私は目を開ける。

えりかちゃん(仮名)がどこに行ったのか、そーっとバレない様に探してみた。

えりかちゃん(仮名)は自宅の壁にものっすごい勢いでどんぐりをこすって穴をあけようとしていた。シャシャシャシャシャシャシャシャッって超高速で。

 

えりかちゃんは私に気づき手を止め、何か言おうとしたと思うんだけど、私は先にこう叫んで帰った。

「えりかちゃん(仮名)のうそつき!」

 

その後、私は今までのメンバーと遊んだり下校したりしていたんだけど、えりかちゃん(仮名)は別のグループに入って、これまでより地味に魔法の力を駆使していた。

それでもたまに、私はえりかちゃん(仮名)と二人で遊ぶ事があった。魔法抜きで。

 

翌年のお正月。

我が家に届いた年賀状を父が宛名別に分けていた。

「ねぇ、えりかちゃん(仮名)の事うそつき呼ばわりしてんの?」

と尋ねられたんだけど、どんぐり事件の事とかすっかり忘れていたので、何のこっちゃわからんと言い、父からその年賀状を受け取った。

キキララカラーのファンシーな年賀状の右下には、手書きでこう書いてあった。

「今年はうそつきって呼ばないでね☆」

 

笑った(笑)。

 

それから程なくして、えりかちゃん(仮名)はまた引っ越してしまった。

はえりかちゃん(仮名)の事は嫌いではなかった。

ただ前を歩くなとかいろいろ命令されるのが嫌だっただけで、えりかちゃん(仮名)と遊ぶのは楽しかった。

 

えりかちゃん(仮名)、今どうしてるのかな。

一緒に過ごしたのは1年か満たないぐらいの期間だったけど、お正月になると必ずえりかちゃん(仮名)の事を思い出す。

 

今日はお正月と関係ないけど、ふとえりかちゃん(仮名)の事を思い出した不思議な日。

何かあたたかい物を飲みたい気分です。